【90歳夢道2】心と体の同時活性化術 (1)

▲スマイルいっぱいの新堀ギターのレッスン。
    幸福感が持続する人生は素晴らしいですよね。
 それを実現するためには “「心」と「体(からだ)」のどちらもが健康” であるほど、その確率は高くなります。
 「心」とは「脳の働きの事」です。
 脳(考え方)は、体の健康に対して良い方向にも、悪い方向にも働きます。
 明るく前向きな事、楽しい事、嬉しい事を感じれば、脳からドーパミン等が分泌され、気持ちや体を活性化させます。(この仕組みを正しく記述すると難解になってしまうので、ドーパミン等を、あえて元気にするホルモン、良いホルモンとして記したいと思います。)
 逆に心配事(ストレス)が多いと、自律神経のバランスが崩れ、胃粘膜防御機能の低下に加え、胃酸過多で、胃が炎症をおこして痛くなってしまうのです。これが続くと胃潰瘍,胃がん、また胃に穴が開く事もあるそうです。

 私も40代位までは、レッスン活動も常に行ない、会食の機会が多く(暴飲暴食)、遅寝遅起きの不規則な生活で激太り!また若造であった私は批判(ギター合奏は邪道だとか)を浴びる事も多かったのです。更に、思うようにならない事も多く、怒鳴ってばかりの日常だったようです。
 東京の阿佐ヶ谷に本院(本部)を構えていた当時の私は、ギター合奏の練習中に飼犬が吠え続けた時は「外の犬を黙らせろ!」と団員に怒鳴ったほどのワンマンだったとか…。呼吸法に気付かなかった時期、ギター合奏は合わせる事でも大苦戦し、1970年代まで練習中に怒り、折った(粉砕!?)指揮棒がいかに多かった事か…。自分が始めたギター合奏への責任感と夢が大きく、今よりも周りへの感謝まで気がいかなかったようにも感じます。ですから心穏やかな日は少なく、胃酸過多で仁丹が手放せず、娘から「パパの香りは仁丹の臭い」と言わるほど常用していました。そして70代の頃に行った人間ドックでは 「もしかしたら、昔の胃がんの跡かも…」と医者から指摘されてしまいました。当時は胃潰瘍か胃がんを発症していたかもしれません。それほど身も心も不健康であったと思います。

 人は、自分の気持ち・考え方次第で、元気にも病気にもなってしまいます。このことは、“幸福道を語る原点” でもあります。
 心配事・自己否定・希望が持てない、他者否定・不満が積もると、暗い方向の事(ネガティブ)ばかりを考えてしまい、気持ちが沈めば体調不良を招きます。そして体が弱ると気持ちが沈み、更に悪い事を考えて…と不幸道のスパイラルに、はまりやすくなってしまいます。過去の私のようにイライラと怒ってばかりいるのも心身ともに痛めます。そんな当時の私が、かろうじて精力的に活動できていたのは、夢を持って、大好きなギター合奏の波動を浴び続けていたからかもしれません。

 さて、ネガティブではなく、まず前向きな事を考えると、体にも良い影響があるわけですが…、何もいきなり「地球を救う」とか壮大な夢を持って行動をしよう等と言うわけではありません。まず、今すぐやれる目の前の事から始めてみましょう。
 例えば “スマイル” をしてみる、それをもう少し多くするとか、“あいさつ” をこちらからする等でも良いのです。
 脳科学者の文献から少し紹介します。( 話を理解しやすくするために、あえて脳内ホルモンの「幸せホルモン」=セロトニン(ストレスに負けない)、オキシトシン(安らぎを与える)、ドーパミン(やる気が出る)という言い方で話を進めたいと思います。)
 「ニッコリ」すると、先ず自分の脳からオキシトシンが出るばかりでなく、ニッコリされた人の方も幸せホルモンが出る…スマイルは、家庭はもちろんの事、職場でも非常に良い効果をもたらす事がわかって来たのです。ですので最近では、休憩時間の談笑は無駄ではなく、欠く事が出来ない必要事項である事を意識する職場が増して来ているそうです。
 スマイル=「ニッコリ」 ですが、その表情を作る、口角を上げるだけでも顔の筋肉の緊張をほぐし、脳・自律神経に良い影響を与えるそうです。

 効率化を重視し、デジタル化・リモート化を進めすぎ、各人の孤立化を進めてしまうのではなく、一見無駄に思える談笑・雑談のタイムを設けるようにすると、各人の心と体のバランスがとれ、健康度もアップして、チーム力が上がる事が見直されるようになってきたのです。特に現代は雑談が苦手な若者も多いようなのですが…。
 デジタルでの雑談(チャット)は、顔も見えない事もあり、悪質なものも見受けられます。しかし、同じ空間を共有しての対面での雑談、その中でも趣味が同じ人の雑談は楽しく、心と体に良い影響を与えます。
 私も指導後にギター合奏団の懇親の場に呼ばれる事があります。合奏団には社会的地位などの垣根もなく、あらゆる人が集まっていて、会社役員や大学教授の方もいらっしゃいます。そのような方達が、ギター合奏や合奏団の事を、“こんなに素晴らしい人生(幸福道)ってあったんですね~”とお話しされ、感嘆のため息を漏らすのです。
 この幸せ感には様々な理由がありますが、その一つには、音楽することで左脳(理論)と右脳(感性)のバランスがとれるという事があります。これは以前、受験生の脳の話でしました。
 それから人は、デスクワーク(知的作業)ばかりでなく、体を動かすことも、心身の健康に欠かせません。座っている時間が長い事は、あまり体には良くないのです。
 もちろんギターの演奏は五感の内、触覚・視覚・聴覚、そして呼吸も使い脳を大いに活性化させます(ボケ防止には最適!)。しかし、更に健康を目指すのであれば、立って動く事が人の体には自然であり必要なのです。
 ですので脳と体の両方を活性化させ、健康に人生の幸福道を歩んで頂きたいとの思いで、私は本厚木に「ニイボリスタジオ」を開設しました。
 私も88歳であり、健康長寿に関して無関心でいる事は出来ませんので、自分で調べたり、アドバイスを頂いたりします。それで、ある医師が言うには、“人間は長生きすると誰もがガンにかかるリスクを持つ=いわばガンは100歳まで生きる税金のようなもの” との事。また、最近のデータでは、90歳を越える男性の50%は脳がボケるリスクを持っているとの事なのです。
 私自身、ボケとガンは他人事でないのです。「ボケ」は脳のダメージであり、「ガン」は体のダメージです。
 故に、脳をボケにくくし、ガンになりにくく出来れば、健康長寿=幸福道を堂々と歩めるわけです。

 著者(私、新堀寛己)は、2023年に満89歳(数えで90歳)になります。幸いな事に、服薬も無しで、元気な現役で、幾つもの仕事を続けています。
 先日も、高齢者のワクチン接種の時に、医師と看護師から、“本当にお薬(常備薬)は何も飲んでいないのですか? え~っ 本当に?!”と大きな声で確かめられ、こちらが、この年齢で常備薬が何もないのは異常なのか?と困惑したほどです。
 もちろん、お酒を飲みすぎた時などは胃薬くらいは服用しますが、高齢者にありがちな血圧やコレステロール値を下げる作用の常備薬は今のところ何も服用していません。
 脳ですが…、今もこうして75冊目の本を目指した文の執筆をしています。書く事は益々好きです。かなり脳を使います。また、経営は相当先を読まないと出来ません。脳を多用します。更に人の問題も待ったなしで起こります。学校経営も厳しい冬の時代ですし、二桁となったビルの運営も24時間、日曜・祭日なく脳も体も(行動)も求められます。そして身体の整備も、生きがいタイム(楽しみの時間)もとても大切であり、生き生きとやっています。
 体もですが、脳は使用しない部分は退化します。それは無駄を省き、最短の脳内ネットワークを作って行くためだとか。この脳の活性化に楽器の演奏は最適です。その中でも、クラシックギターが素晴らしい効果を発揮します!その理由は以下の通りです。
 人の「指」は、各指共、先端の両端に最も敏感な神経が走っていて、爪の左先端(親指側)がその末端です。あらゆる楽器の中で、この最も鋭敏な部分を直接使い続けるのが「伝統ギター(クラシックギター)」です。“連続で刺激し続けるのは、あらゆる楽器の中でギターが№1で、強烈に脳を刺激し活性化させます。” ピックや弓を使う楽器、鍵盤やピストンを使うものよりも、直に両手の指が弦に触れ、指先の繊細なコントロールで音色を変化させる「生ギター=クラシックギター」に勝るものは他にありません。
 脳への刺激をもたらすギターは、人類史上、最古最長の歴史を人類と共に歩んできました。その魅力は美しい音色でもあります。私が大いに魅了されたギターの音色は、名工による素晴らしい楽器(ギター)と巨匠アンドレス・セゴビアの弾き方=セゴビア奏法によって生み出されました。これに魅了され、世に広める為に、私は音楽院も専門学校も創設したとも言えると思います。
 何度も述べて来ましたが、セゴビアの奏でる音は、全ての人を魅了し、心身が震える=ゾクッとする美しい音なのです。
 このような、美しい音を聞いて “ゾクッ” とした感覚は、音楽が大好きな皆さんは経験した事があるでしょう。
 Niiboriの教室(新堀ギター音楽院)や専門学校(国際新堀芸術学院)では、このような体験の機会が多いです。
 皆さんが、このような体験をして、素晴らしい幸福感に満たされる事を願っています。
                                         つづく